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『今』アメリカ経済は絶好調?2019年後半には大型減税効果が落ちる可能性がある

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アメリカ株は2019年に本格的な調整に入る

2018年、アメリカ株(原題は米国株)は大幅調整する可能性が高いのでは?当時のアメリカ株が割高な水準である。2018年のアメリカ株は10~15%程度のレンジの範囲内で調整し、さらには、株価が調整後に戻したとしても、世界同時不況が予想される2019年~2020年に20%超を調整しています。

しかし、実際のところ、2018年の2月上旬のごく短い期間に、NYダウ平均は12%超の暴落をして、世界の株式市場が一時的とはいえパニックに陥りました。それでも私は、NYダウ平均が1月末の2万6600ドル台の高値から2月上旬の2万3300ドル台の安値まで暴落して以降、株価は半年くらいの期間をかけて2万5000ドル台までは戻し、逃げ遅れた投資家にも逃げ場はあるだろうと見ていました。

アメリカ株に2月暴落後のような戻りは期待できるか?

ところが現実には、トランプ政権の大型減税の効果もあって10月3日には瞬間的に2万6900ドル台まで上昇、史上最高値を付けてきました。投資家にとっては逃げ場というよりも、最近までは十分すぎる利益確定の場を与えてくれていたのです。投資家目線でいえば、「ここで売らなくて、いつ売るのですか」という状況にあったというわけです。

ですから私は、NYダウ平均が10月4日からわずか6営業日で瞬間的に2万5000ドルを割り込んだ状況を見ていても、まったく驚きはなく冷静に見ていることができました。その結果として、アメリカ株のPER(株価収益率)は15倍台後半と2016年2月以来の水準に下落していますが、2月の暴落後のような戻り相場が期待できるのかというと、私はその確率は50%以下になるのではないかとはじいています。というのも、アメリカ株の割高感が薄れてきたとはいっても、それが景気後退を意識しているものであれば話は変わってくるからです。

アメリカの長期金利が9月下旬からの上昇によって、これまで壁としてはね返されてきた3%のラインを突破してきました。その後は3%の壁を明確に突き抜けて3.2%台まで上昇し、FRB(米連邦準備制度理事会)がQE3(量的金融緩和第3弾)に乗り出す前の水準(2011年5月以来の水準)となっています。

長期金利が3%を突破する原動力となったのは、FRBが今年3回目の利上げをしたのに続いて、直近の失業率が3.7%と半世紀ぶりの低さとなったり、ISM(アメリカのサプライマネジメント協会)の非製造業景況感指数が過去最高を更新したりするなど、アメリカの景気の力強さを示す指標が相次いでいるからです。

そのうえ、イランの供給減に起因する原油高も長期金利を押し上げる要因となっています。原油価格の指標であるWTI原油先物の価格は一時1バレル=77ドル台に迫り約4年ぶりの高値を付けていたのです。現時点は68ドル台まで下落したものの、1年前より4割も高く、インフレが進むのではないかと懸念されています。

低金利頼りだった米経済に変調をもたらす長期金利上昇

長期金利が3%を明確に超えてくるようになると、低金利に頼ってきたアメリカの旺盛な個人消費に陰りが見え始めるようになるばかりか、自動車ローンやクレジットカードローンの延滞率が上昇するという悪影響が想定されます。

実際に、アメリカの住宅市場が天井を打ったという感触があるなかで、2018年中には個人消費に悪影響が出始めて、2019年の前半にはその悪影響が如実になっていくことが予想されます。すなわち、これから1年程度でアメリカの成長率が急減速する見通しが立てられるというわけです。

それに追い打ちをかけるように、2019年後半に大型減税の効果が薄れてくることを考えると、今後の長期金利の平均した水準が3.2%前後で推移し続けたとすれば、アメリカは2019年中に減速傾向が鮮明になっていき、1~2%台の成長率に落ちていくでしょう。

さらに2020年には景気後退(2四半期以上のマイナス成長)が現実味を帯びる展開を想定しておかねばなりません。当然のことながら、今後の長期金利が3.5%まで達するようなことがあれば、景気後退が始まる時期はそれよりも少し早まる可能性が高まっていくのは言うまでもありません。

市場にネガティブな問題が山積みになっている

そのうえ、今後の世界経済は米中貿易戦争をはじめ、イタリア財政問題の蒸し返し、新興国の資金流出への懸念、英国のEU離脱の期限接近、中東の地政学リスクの高まりなど、いずれも市場にネガティブな問題が山積みです。アメリカの景気が巨額の減税によってかさ上げされた副作用として、2019年会計年度の財政赤字は1兆ドルと歴史的水準に悪化するという悪材料もあります。アメリカの巨額債務が長期金利の上昇を通して、世界経済全体の重荷となるのは間違いありません。

おまけに、NYダウ平均のチャートはダブルトップの形になり、2月の暴落時よりも調整に入る可能性が高まっていることを教えてくれます。もちろん、私の読みが外れて数カ月後に再び2万7000ドルに接近するようなことがあれば、その時のチャートはトリプルトップの形になり、今以上に調整の可能性が高まっていくことになるでしょう。

いずれにしても、2018~2019年前半までの期間にアメリカ株の天井が確定し、その調整は1~2年程度続くことを覚悟していく必要があるでしょう。

日経平均も10月11日には1000円近く下げ、その後は一進一退の展開となっていますが、アメリカ株との連動性を考えれば、前回よりは戻りが鈍くなるのは想定することができます。それでも市場関係者のあいだでは、株式市場は徐々に落ち着きを取り戻し、日本株の下げは限定的になるとの見方が多いようです。多くのアナリストは2万4000円までは戻ると予想しているといいます。

相場に絶対はないので、私も2万4000円にまで戻す可能性を否定するつもりはありませんが、個人投資家の投資余力が落ちていることを考えると、せいぜい2万3500円まで戻すのが限界であると思っています。というのも、個人投資家は2月の暴落時に追証を回避するための処分売りを急増させていて、その懐具合は以前よりも厳しくなっていると見られるからです。

東証マザーズ指数は2017年に3割ほど上昇したのに対して、2018年は2割ほど下落しています。2017年のPERは50倍程度だったのに対して、2018年は80倍程度であり、業績が伸び悩むことで割高感が鮮明になっているのです。暴落時に下支え役として機能してきた個人投資家の余力低下は、逃げ遅れたら数年は辛抱になるかもしれない状況にあることを映し出しているのかもしれません。









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